尼崎市の空き家問題とその対策について
拡大している空き家問題
全国でも空家問題が大きく報道されるようになってずいぶん経ちますが、尼崎市も例外ではありません。特に尼崎市は兵庫県下でも人口が減少に転じているエリアですので、自然と空家問題口が多い市です。
元々、尼崎市は阪神間を支える工業地域として発展し、大企業もここに会社や工場を建設しました。出稼ぎで尼崎市に働きに来る人も多く、企業も労働力を確保したいので、こぞって工場で働く人たちを募集しそれに伴って人口も増加していきました。
空き家増加の要因1:人口の減少
現在の尼崎市の人口は約45万人。今から約50年前の昭和40年代の尼崎市の人口は55万人を超えて、兵庫県内でも神戸市に次いで2番目に人口の多い市町村として繁栄していました。阪神間の経済を支える工業地域として発展を続けている尼崎市には続々と住戸が建設されて、人口は増え続けました。ところが、昭和50年代頃から徐々に人口は減少に転じました。ただ、その減少も急激なものではなかったので目立って話題に上ることもなかったのですが、目に見えて増えてきたのがアパートの空き部屋です。実際に昭和45年まで右肩上がりで増え続けた人口は、昭和50年代に入り、減少していきます。この30年で10万人以上も人口が減っています。隣の西宮市が人口を増やして50万人を超えたのと対照的です。
空き家増加の要因2:家族構成の変化
家族構成の変化も空家が増加する原因の一つになります。2世帯・3世帯を含めた大家族から夫婦2人、子供2人の核家族へと家族構成が大きく変化していく中で子どもの成長に伴って家から独立し、家に戻ってこなくなりました。その後、年老いた両親が亡くなった後子どもが家を相続するのですが、既に自分の家を持っている子どもたちはそのまま家を放置することになります。
放置した家はそのまま、面倒を見なくなると益々空家の老朽化が進みます。
人が住まなくなった家は空気の入替も含めて家を維持していくために普段から行っている行動を一切しないのでどんどん痛んでいきます。
ここから先は悪循環です。人が住まなくなった家は老朽化が進み、老朽化が進んだ家にはますます人が近づかなくなる。どんどん空家が増えていくしくみです。
それに、上に建物が無い土地と上に古い建物がある土地とでは、かかってくる税金が異なっており建物が無い方が利用価値が高いため、古い空家を壊してしまってはかえって税金が高くなるので、空家をそのままにするという状況ができあがっています。
全国的に空家が爆発的に増加した理由はそういった事情によります。
空き家増加の要因3:少子化
全国でどんどん広がっている空家問題は大なり小なりそんな産業構造の変化、家族構成の変化、によって生じてきました。
特に地方では、完全に少子化問題が直撃しています。
子どもの数が多かった時代は、長男が跡を継いで残りの子どもたちは、地方から東京や大阪などの大都市へ出て働き、といった図式が出来ていました。地方から都会へ出ていった子どもたちが、お盆や年末年始に帰ってくる。この大移動に伴う交通機関の乗車率の高さや高速道路における渋滞の長さなどがテレビで報じられるのが毎年の風物詩のようになっていました。
ところが、近年は渋滞が発生するにしても以前とは内容が異なっていました。移動の目的は旅行であったり、帰省を原因とした移動が減ってきているのです。原因は明らかで、地方にいる両親が健在なときは毎年欠かさず帰省していたのですが、両親が亡くなってしまったらもう帰る必要が亡くなったと考えて帰省しない人が増えています。特に、少子化の影響で例えば子どもが一人だけの一人っ子の家庭では、その子どもが成人して地方から都心部へ引っ越して帰ってこなくなるパターンが非常に多いと言われています。
老朽化が進む空き家
上記のように両親が健在な頃は子どもが帰ってきていた所が親が亡くなったら帰ってくる必要がなくなってそのまま空家となった家が放置されるケースが多いです。相続はしているので、名義は子ども名義ですが親と違って地方で住んでいない子どもは用事が無い限り、帰ってくることがないので、自然と放置され家は傷んでいきます。
日本全国どこの町でも同じ現象が起きています。家を取り壊すにもお金がかかるので、取り壊すことなくそのまま放置されて、面倒を見る人がいない家の老朽化がどんどん進んでいくといった構図です。
老朽化が進んだ空家は非常に危険に特に住宅密集地における老朽化した空家は問題となっています。
空き家バンクとはどういうもの?
そういった空家問題に対して今まで有効な手段を取ることなく、各自治体も手をこまねいていたのですが、近年空家バンクといったものの事を聞くことが増えています。
尼崎市でも空家バンクはあります。空き家バンクとは一体どういったものなのでしょうか?
尼崎市の空家バンクは、尼崎市内の空家の流通や活用を促進して、管理されていない・放置されているような空家をこれ以上増やさないためと、空家を活用して尼崎市内への定住を促していくことを目的としたものです。
つまり、自分が持っていても仕方が無い空家を売りたい・貸したいと思っていても今までは空家自体が遠くにあって不動産屋さんとの話も面倒で、具体的に話が進展することが少なかったのに対して、空家バンクに登録することによって、その登録された空家情報が公開されて空家を利用したいと思っている希望者との仲を促進する狙いがあります。
取り壊すのもお金がかかるし、(家を取り壊さないのは、以前は更地にしてしまうと土地利用価値が上がるため、税金も一緒に上がってしまうためにあえて家を残しておくという人も多かったということも原因としてありました。)売ったり貸したりするために不動産屋に相談したくても、わざわざそのために移動を強いられるために時間を取ることが出来ないといった問題が空家が増加し続ける一因ではあったのですが、この空家バンクを活用することによってこの問題の解決にも光明が見えてきました。
では、空家バンクの活用について説明していきましょう。
尼崎市空家バンクの登録から成約までの流れ
① まず空家を売ったり、貸したりしたいと希望している空家の所有者が尼崎市空家バンクへ登録申請を行います。
② 空家の所有者が独自に不動産業者と媒介契約を結んでいない場合は、市が宅建協会に媒介契約を締結できる業者の紹介を依頼します。
③ 宅建協会が業者を空家所有者に紹介します。
④ 不動産業者が具体的に売却や賃貸を目的とした調査を行っていき、所有者との間で媒介契約を締結してます。
⑤ ④で所有者と媒介業者との間で媒介契約が締結された場合、宅建協会の方から尼崎市へ業者の決定通知書が行きます。
⑥ 尼崎市が業者の調査に基づいて空家バンクに登録する用件を満たしていると認めれば、空家は空家バンクに登録されます。
⑦ 空家バンクに登録された旨は尼崎市より各所有者へ通知が行きます。
⑧ 尼崎市は登録された空家について、空家バンクにてその情報を発信していきます。
⑨ 空家を購入、もしくは借りたいと思っている者は空家バンクを閲覧して、希望条件に合う空家を探します。
⑩ 空家利用希望者が自分の条件に会う空家を見つけたら、希望する空家の媒介契約を結んでいる不動産業者へ連絡します。
⑪ 利用希望者の希望は、不動産業者を通じて所有者にいき交渉がまとまれば、売買契約や賃貸借契約に進んでいきます。
⑫ 空家の売買契約や賃貸借契約が締結されれば、尼崎市へ報告されます。
⑬ 尼崎市は利用がきまった物件について、空家バンクから登録を抹消します。
こういった手続きを踏まえて空家の再利用が進んでいきます。
一番の問題であった空家の所有者の(空家所在地に住んでおらず、現在の居住地が近隣にも無い)不動産業者への連絡や打ち合わせ手段が無いことによって生じた問題がこの空家バンクに登録することによって解決するのが一番空家問題の解決に一役買っていると言えます。
尼崎市空家バンクへ物件を登録する要件は?
こういった手続きを踏まえて空家の再利用が進んでいきます。
一番の問題であった空家の所有者の(空家所在地に住んでおらず、現在の居住地が空家から離れている)といった問題を解決してくれるのが空家バンクです。
それでは空家バンクを利用できる要件等があるのでしょうか。以下で見ていきます。
まず、登録できる空家についての要件は、
① 居住の用に供する部分の面積の合計が延べ床面積の2分の1以上の空家であること。
② 消防法又は、建築基準法に基づく指導や命令等を受けていない空家であること、
③ 耐震性能を有する空家であること。
④ 竣工後5年以上経過している空家であること。
⑤ 所有者等が宅地建物取引業者や不動産業者等でない空家であること。
⑥ 媒介又は、代理業者と媒介又は代理契約を締結している空家であること。
→⑥の条件を満たしていないときは、市が宅建協会に媒介契約を締結する業者の斡旋を依頼します。
以上、①~⑥の全てを満たしていることが空家バンクを利用できる空家として認められることになります。人が住んだり利用できることが前提なので古すぎる家屋は対象外になります。老朽化が進んで人が住めないような家屋は、空家バンクに登録が難しいかも知れません。
尼崎市空家バンクはどんな人が物件を登録できる?
次に、空家バンクに登録できる人はどんな人なのかを下記に並べています。
① 空家の所有権を有する人
② 空家の売却や賃貸を行う権利を有する人
③ 但し、①②に該当する方でも暴力団や暴力団員、暴力団密接関係者と認められる人については空家バンクに登録することができません。
特にコンプライアンスが厳しい昨今、暴力団等の資金源につながる行為はご法度となっていますので、空家バンクを利用できないとなっています。
逆に一般の方で、権利を行使できる能力を有する人は誰でも空家バンクを利用することができます。
尼崎市空家バンクを利用する際の注意点は?
次に空家バンクを利用する際の注意点がありますので、下記に記載しておきます。
① 空家バンクは、所有者等と利用したい方との間で行う物件の貸し借りや売買に関する交渉、契約等に関しての媒介を行うものではありません。また、契約に関するトラブル等については、当事者間で解決をお願いします。
② 登録する物件の関係法令等の適合状況については、所有者等と利用したい方との間で確認してください。
③ 媒介・代理業者へは、宅地建物取引業法に基づく報酬が必要となります。
④ 登録申込みされた個人情報については、尼崎市個人情報保護条例の規定に基づき、媒介・代理業者や利用したい方への提供のほかは、本事業の目的以外に利用しません。
⑤ 所有者等が尼崎市暴力団排除条例(平成25年尼崎市条例第13号)第2条第2号に規定する暴力団、同条第3号で規定する暴力団員及び同条第4号で規定する暴力団密接関係者である場合は、尼崎市空家バンクに登録をすることはできません。
※以上、尼崎市ホームページより抜粋
このように、ケースに応じて注意点が記されているので、気をつけて下さい。
おすすめ物件情報|尼崎市の新築戸建て物件一覧
まとめ
今回は、尼崎市のおススメスポットについてご紹介をしました。尼崎市で不動産や新築戸建の購入を考えている人にとって、色々と気になる情報だったのではないでしょうか。
これからもこのブログを通じて尼崎市の情報をたくさんお伝えしていこうと思いますので期待しておいて下さい。
アクロスコーポレイションは兵庫県尼崎市の不動産情報を多数ご紹介しております。
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